【HUNTER×HUNTER】水面に映る雷光【キルア】
第4章 道化師の介入
――夜。
テティスは水浴びをしようと、川の浅瀬にいた。
川辺は、人の気配がなかった。
せせらぎの音だけが、一定のリズムで流れている。
テティスは周囲を確認してから、外套を外し、肌着だけになる。
汗と泥を落とすための、短い水浴び。
冷たい水が足首から脛へと流れ、張りついた疲れを剥がしていく。
(……静か)
その瞬間、空気が変わった。
「ふぅん……」
背後から、甘く歪んだ声。
テティスは凍りついた。
水面に映る影が、一つ多い。
「そんなに警戒しなくてもいいじゃない♠
ただ……興味があってね」
ゆっくり近づく気配。
視線は、明らかにテティス“本人”ではなく、水の動きを追っている。
「その念の動きを見る感じ…
感情と直結してるでしょ♦︎」
テティスは水を操ろうとするが、呼吸が浅くなる。
嫌な既視感。評価する視線。値踏みする声。
『……近づかないで』
言葉は出た。
でも、距離は縮まる。
次の瞬間――
「そこまでだ」
低く、鋭い声が割り込んだ。
キルアが、テティスの前に立っていた。
迷いなく、体で遮る。
「……やっぱり来たねぇ♠︎」
男は楽しげに笑う。
ヒソカ。
「君の“守る反応”、
とても分かりやすい♡」
キルアは一歩も引かない。
オーラが、静かに尖る。
「興味本位なら帰れ。
――次はない」
短い沈黙。
ヒソカは肩をすくめた。
「今日はここまで♣
才能は……十分に分かったから」
風が揺れ、気配が消える。
「いつか、手合わせしようね…テティスちゃん…♡」