【HUNTER×HUNTER】水面に映る雷光【キルア】
第3章 過去
焚き火の前。
テティスは毛布に包まり、まだ少し震えている。
キルアは、少し距離を取って座る。
『……さっきの』
テティスが、先に口を開いた。
『思い出しちゃった』
声は静かだが、深い。
『親が……目の前で強盗に殺されたこと』
キルアは黙って聞く。
『その後の施設でのこと。
言うことを聞かないと、水をかけられた』
焚き火が揺れる。
『水には慣れたけど…
その後独房に閉じ込められて……
暗くて、寒くて……
どこまで行っても、壁』
『暗闇の中では、親が殺される光景が
何度も何度も蘇るの…』
テティスは膝を抱える。
『だから、先の無い暗闇が……怖い』
しばらく、沈黙。
『大人はね、
優しくする代わりに、必ず何かを欲しがった…
反抗すると力で捩じ伏せてきた…』
かすかな笑み。
『それが、嫌で……
誰も信用できなくなった』
声が、少しだけ揺れる。
『……でも』
キルアを見る。
『キルアは、助けに来てくれた』
「当然だろ」
即答。
『見返りも、何も言わなかった』
キルアは視線を逸らす。
「そんなもん、いらねぇ」
テティスの声が、かすれる。
『……ずっと、独りで寒かった』
その言葉に、キルアは耐えられなくなった。
距離を詰め、
そっと、テティスの肩に手を置く。
「今は、違う」
低く、確かな声。
「少なくとも……俺がいる」
テティスは、ためらいながら、
キルアの胸元に額を預ける。
「……あったかい」
キルアは顔を隠すテティスの頰に流れる雫を
気付かないフリをして
ただただ、抱き止めていた。