【HUNTER×HUNTER】水面に映る雷光【キルア】
第2章 旅路
朝。
森に差し込む光で、キルアは目を覚ました。
――異常なし。
それを確認してから、視線を横にやる。
少し離れた岩の上で、テティスが水筒の水を操っている。
水が細い糸のように宙を走り、刃物のような形を作っては消える。
(朝から訓練かよ)
思わず黒いツンツン頭の懐かしい笑顔を思い出し、
ふっと目を細め微笑む。
キルアは立ち上がり、近づく。
「それ、攻撃用?」
テティスは振り返らずに答える。
『制御確認』
「几帳面だな」
『失敗したくないから』
水が静かに水筒へ戻る。
キルアは少し考えてから言う。
「……動き、硬い」
テティスがこちらを見る。
『そう?』
「力、入りすぎ。それじゃ”流れ”が死んでる。」
自分でも驚くほど、自然に出た言葉だった。
テティスは一瞬黙り、もう一度水を出す。
今度は、ほんの少しだけ力を抜く。
水の動きが、柔らかくなる。
『……あ』
自分でも違いを感じたらしい。
キルアは腕を組む。
「今の方がいい。
無理して制御しようとするな」
『……ありがとう』
テティスが微笑む。
その”ありがとう”は、小さくて、素直だった。
キルアは目を逸らす。
「別に。
旅、楽になるからな
足引っ張るなよ」
言い訳みたいな口調。
慣れないお礼に照れているのか、
初めてテティスの笑顔を見たからか、
少しだけ耳が赤く色付いていた。