第15章 合流
「あの、どこに行くのですか?」
当たり前のようにどこかに行く方向の話しぶりに八重はつい尋ねてしまった。
その気持ちを汲んだのか、乙骨が「あ、僕らの拠点に来てもらおうと思ってて」と説明を始めたそばから、脹相が「そこで悠仁を一度殺した理由を聞く」なんて言うものだから八重は「え…」と言葉を失って固まった。
「俺も乙骨に伸された」
「……」
先程まで戸惑いながらも好意的に向けられていた八重の視線は既に疑念のものに差し替わっていた。
それに乙骨はあたふたとしだす。
落ち着いて、と言わんばかりに両手のひらをこちらに向けている。
「違うんです。いや、違わないんですけど、ちゃんと理由が……虎杖くんが起きたら説明しますから……とりあえず行きましょうか」
殺された本人への説明が最優先と尤もな精神でここからの離脱を促す。
何か事情がありそうなので、こんな人目につく場所にいるのも憚られるのかもしれない。
再びリカが脹相に腕を伸ばそうとするのを察して、脹相は「俺はもう自分で走れる」と断りを入れる。
「八重さんはどうします?」
明らかに呪力がなく、特段運動能力が高そうでもない八重をどうしたものかといった乙骨に、八重自身も「えっと…」と答えられずにいた。
(たぶん、というか絶対に皆についていくのは無理…)
八重が考えあぐねていると。
「八重は俺が抱えていく」
脹相が八重の横に進んだ。
八重は一瞬にして脹相に抱えられる自分を想像する。
何パターン想像してもかなり抵抗感のある図だった。
「いえ、それは…遠慮します」
「何故だ?」と本気でわかっていないような脹相を尻目に八重は乙骨に向き直った。
「あの…こちらの方にお願いすることはできますか?」
八重が手のひらを向けたのはリカだった。
リカも自分が指名されていることに気付いたのか「憂゛太ァ゛、誰ェ゙゛?」と乙骨を擦り寄る。
「リカちゃん、大丈夫。虎杖くんのお友達だって」
その言葉にリカは未だに自分の手の中にいる虎杖と八重を交互に見ているように顔を動かしている。