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【呪術廻戦】誰も知らない

第15章 合流


結果として「…八重と申します」と名前の方を名乗った。
自分の名前を噛み締めるとほんの少しだけむず痒い気持ちになる。
それでも、名前を自分のものとして名乗れるのは嬉しい。
無意識に八重は脹相の顔を伺う。
脹相も八重が八百比丘尼ではなく自分の名前を自ら名乗ったことに満足そうに穏やかな視線を向けていた。

「僕は乙骨憂太と言います。それで…えっと…八重さんって何者ですか?」

「え…?」

戸惑いながら尋ねる乙骨に八重も脹相から視線を移し、そして戸惑う。

「あ、こんな聞き方ですみません。えーと、八重さん、呪力は感じないのに、何だか雰囲気が…普通の人じゃないなーと思って…」

言葉を選びながらニュアンスで伝えてくる感じが乙骨の人となりが出ているように八重は感じた。
なので、八重も自然と「あ…あー…150年前まで八百比丘尼と名乗っていました…」と素性を明かしてしまった。
八重にとっては名前を名乗った今となっては『八百比丘尼』を名乗る方が気恥ずかしい。
しかし「え!?」と聞き返す乙骨の反応は八重が今まで出会ったことのない種類のものだった。

「八百比丘尼って、あの、八百比丘尼、ですか!?」

乙骨のテンションが明らかに変わっている。
いきなり前のめりになって尋ねてくる様に八重は「え、あ、まぁ…」とたじろいだ。
ここ最近では八百比丘尼と名乗ってもそれでどうのこうの言われることがなかったので、自分は忘れられた存在なのだと思っていたところだった。
しかし知っている人は知っているらしい。

「え、本当に不老長寿なんですか?」

「…はい、1000年ほど…」

「すごい…入定したっていう伝承もありますよね?」

「…それは、比丘尼をやめようと思って…」

少しずつ、ほんの少しずつだがにじり寄ってくる乙骨に、たじろぎながらもちゃんと受け答えしている八重。
そこへ脹相が「乙骨、行かなくていいのか?」と乙骨の意識を連れ戻す。

「あ、すみません」

乙骨は本来の目的を思い出したようにハッとして八重から離れた。
しかし、未だに口では「うわー、本当にいたんだー」と呟き、「また後で話、聞かせてください!」と約束を取り付けていた。
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