第20章 【九十九】八百比丘尼と呪胎九相図
もしもの事があった時に私の遺志を託す事ができるのかは見極める必要があった。
だから、羂索が来た時の為の作戦会議で、彼が「一人でやらせてくれ」と自ら斥候に名乗りを上げた時に「死ぬよ」と牽制した。
彼の言い分は理解できる。
再度牽制したところで羂索さえ殺せればそれでいいと、自らの命の使いどころはここだと、もう決めているような口ぶり。
しかし、自分や弟、母、虎杖くんの為とまで出るのに、どうしてそこに八重ちゃんの名前はないんだ?
あれだけただならぬ感情をダダ漏れにさせて、本人だけが無自覚を決め込んで。
どうして、自分の中の八重ちゃんの存在から目を背ける?
「虎杖悠仁の未来に君は必要ないのか?」
『虎杖悠仁』の部分は八重ちゃんにも置き換えられる。
そんな質問をしたら。
「九十九……俺は〝人〟か?」
そう問われた。
あぁ、そういうことか。
それが、君が君自身にかけている〝呪い〟。
その呪いが八重ちゃんへ向けるべき感情を無意識の湖に沈めているのか。
「君が死んだらまた彼は独りだろう」
八重ちゃんもまた独りになる。
君は、君自身の価値を低く見積りすぎている。
天元はその価値を見抜いていたのか。
そうか、わかった。
だったらまず先にやるべきは君のその〝呪い〟を解くところから。
それがその先の八重ちゃんの未来に繋がる。
否、繋げる。