第18章 サイカイ
「さて、上手くまとまったところで、お兄ちゃんにはサクッと薨星宮への扉を見つけてもらおうかな?」
何ら悪びれない九十九に未だバツの悪そうな脹相は軽く睨むがそんなのどこ吹く風で九十九は歩き始めた。
その後に「〝番い〟に良いところ見せろよ」と言いながら真希が脹相の前を通り過ぎ、「よろしくお願いします」と乙骨が通り過ぎ、「っす…」と伏黒が通り過ぎた。
「ほら!行こう!」
最後に虎杖が脹相と八重の背中を押しながら進んだ。
そうしてようやくお互い微笑んで歩み始めた。
―――――
「あれだ」
脹相と虎杖が扉の前に立ち、そして開けた。
目の前に広がるのは夜よりくらい森のような場所。
少し進んだところに倉庫がある。
他の皆は倉庫には目もくれず先を歩く。
脹相だけは歩みを止めて、倉庫を見つめた。
八重はこの倉庫こそ脹相が150年間封印され、今尚6人の弟たちが眠る忌庫であると理解した。
「脹相」
虎杖が声をかければ、「分かっている」と言いつつも脹相は倉庫の扉に手を当てた。
「後で迎えにくる。もう少し待っててくれ」
八重は知らなかった。
こんな暗く寂しい場所に彼らが封印されていたことを。
(…私が彼らをここに連れてこなければ、こんなところに150年間もいなくて済んだのかな…?)
罪悪感が胸を締め付ける。
苦しい。
150年前に分かっていたことなのに、いざ目の前にすると更に苦しい。
「そんな顔をするな。お前は悪くない」
いつの間にか弟たちへの約束を終えた脹相が八重の横に来ていた。
そして、「行くぞ」と歩み始める。
その背中は広く、とても頼もしく見え、八重は自分の中に巣食った感情を必死で飲み込む。
彼の隣を歩む時くらいは少しでも強くあろう、そう思った。
「…お迎えに行く時は、私も一緒に行っていいでしょうか?」
「あぁ…その時は弟たちを紹介する」
「……ありがとうございます」
きっとそれはそう遠くない未来。
脹相に弟たちを紹介されて、自分は何と名乗ればいいのだろうか。
再び会えたことを喜べばいいのか、こうなってしまったことを謝ればいいのか。
今の八重にはわからない。
しかし、その時に「あなた達のお兄ちゃんと一緒に生きています。これからも一緒にいさせてください」と言えるくらいの強さが欲しかった。