第18章 サイカイ
150年ぶりに訪れたそこは以前のままの面影を保ちつつ、更に新しい建物が増えていた。
八重は自分の記憶と照らし合わせ、どこが違っているのか間違い探しのようにキョロキョロと周りを見渡していた。
そんなことをしていたので一行から少し遅れて歩いていた。
「八重、早く来い」
脹相に呼ばれて小走りで追いつく。
連れて行かれたのは1棟の蔵で、床に小さな扉がついていて、それを開けると地下に降りていく階段があった。
ここはかつて虎杖が死を偽装していた時期に身を寄せていた場所だと説明された。
階段を降りていくとテレビやソファが置かれた部屋に二人の女性がいた。
虎杖は「真希先輩!?」と驚きの声を上げ、別の女性の方にも「ども」と声をかける。
声をかけられた金髪の女性は虎杖に向かって笑顔でひらひらと手を振っていたが、八重を見ると手が止まり笑顔が消えた。
そして、八重の頭の先から爪先まで一瞥した。
その視線に一瞬、ほんの一瞬だけ羂索から向けられたものと同種の意味合いを感じて八重は少し身構える。
その間に乙骨が真希に駆け寄り、身体の心配をし始めたものだから、金髪の女性は八重から意識をはずし真希の身体について話をしていた。
「悠仁くん、あの女性は誰ですか?」
そちらで話をしている隙にこっそり尋ねる。
虎杖もこっそり「あれが九十九由基さん。乙骨先輩と同じ、特級の呪術師だよ」と教えてくれた。
真希についての話が終わると本題の天元を隠す結界についてに話が移っていった。
「俺が話そう」
脹相が伏黒の肩を叩き、自らの術式の副次的効果で忌庫に眠る九相図6人の亡骸の気配を感じ取り薨星宮へ続く扉がわかると説明した。
(九相図の亡骸…)
その言葉が八重の胸に刺さる。
八重の寿命の分与をもってしても救えなかった6人。
しかし今は感情を出すべきではないと八重は下唇を噛む。
その間にも話は進み、真希が「こいつは誰だ」と脹相の存在を尋ね、虎杖が「とりあえず俺の……兄貴ってことで……」なんて言うものだから、脹相は感激で虎杖の名前を咆哮していた。
それを無視して虎杖は「行こう」と皆を出口へ誘導する。
脹相の喜びの感情に先程痛んだ胸の痛みが少しだけ癒される。
「ほら、八重さんも行こう」
前からは虎杖に呼ばれる。