第17章 干渉
急に八重の身体が宙に持ち上がる。
顔を上げると脹相に抱え上げられていた。
痛みに意識がいっていたため、あちらの話が終わったことに気づかなかったようだ。
「話は終わった。向こうに行くぞ」
八重を見下げる瞳には怒りに似た心配を示す色。
有無は受け付けないと言っている。
「ありがとう、ございます…」
黙ってされるがままにする。
「…どこか痛むのか?」
「…え?」
「俺が起きてからずっと、お前が痛がっているのを感じる」
これは盲点だった。
八重が脹相の痛みの感情を感じるのと同様に、脹相もまた八重の痛みを感じている。
〝繋がり〟が完全に裏目に出ている。
これでは今後おいそれとこの力は使えない。
八重はゴクリと喉を鳴らしてから、「……寒さで身体が痛みます」とだけ伝えた。
「そうか」
焚火の近くに来るとやはり八重はひどい顔をしていたらしく、虎杖が「八重さん!」と駆け寄ってくる。
「どうした?どっか悪いのか?」
さっきまで意識がなかったというのにもう他人の心配している心優しい虎杖を安心させたくて微笑もうとするが、上手くいかない。
乙骨まで近づいてきて、「どこですか?僕、治しましょうか?」とまで言っている。
「本当に…大丈夫ですので……」
こんなに皆に囲まれて、心配をかけて、八重はもうどうすればいいのかわからず俯いた。
それを見て脹相は溜息をつく。
「ただ寒いだけだ。温まれば治る」
そう言って焚火の前に八重を抱えたまま座った。
「あの…私、一人で座れますから…」
脹相の腕の中で身じろぐがガッチリ抱えられていて動けない。
「こっちの方が温まるのは早い」
そして、八重にだけ聞こえる声で「寒いのが辛いのはよく知っている」と呟いた。
そんなことを言われてしまえば、温めようとしてくれる脹相を無碍にすることなどできず、結局はおとなしく腕の中に収まるしかなかった。
「朝になったら出発しよう。それまでそれぞれ一休みってことで」
乙骨がその場を締めて、その日はお開きになった。