第17章 干渉
乙骨と虎杖の話を聞いていると、二人はその場にいなくて正解だったのかもしれないと八重は思い始めていた。
内輪の話に全くついていけないところに新顔がいたら話が逸れるのは目に見えている。
そうして話を聞いている内に黒髪の見たことない男が現れた。
「あの方はどなたですか?」
八重が脹相に訊くも「俺も初見だ」と知らない様子で、虎杖が「伏黒」と呼んでいたので辛うじて名字だけはわかった状態だ。
彼にも事情があるらしく虎杖に助けを求めれば、今まで消極的だった虎杖も前を向き始めた。
虎杖には虎杖の築いてきた世界がある。
その世界が焚火で照らされたあちらの空間に広がっている。
それを蚊帳の外から見ている脹相はどんな気持ちだろうか。
八重は脹相をこっそり仰ぎ見るが、やはりここでは表情は見えない。
「まずは高専に戻って天元様と接触する」
不意に懐かしい名前が聞こえた。
言ったのは伏黒。
(やっぱり、困った時は天元様が助けてくれる…のかな?)
天元を隠す結界について説明しているのを脹相は真剣に聞き、何やら考えている。
そして、考えがまとまったのか「少し話してくる」と言って暗がりからぬっとあちらの空間に出ていく。
八重が先程危惧していた疎外感みたいなものはないのか、それともあったとしても弟の為に自分の出来ることを常に遂行しているのか。
どちらにしても何の迷いもなくあの光に向かっていけるその気概が八重には眩しかった。
しかし、一人になった途端、気が抜けたのか痛みが強くなった気がする。
脹相が高専メンバーと話しているのを聞きつつ、瓦礫に身を預けてうずくまる。
傷があるわけではないので態勢を変えようが、痛みのある部分を押そうが引こうが痛みは変わらない。
ただただ目を瞑り、耐える。
いつまで続くかわからないこの痛みを。