第17章 干渉
痛みに耐える時間はいつものそれよりだいぶ永く感じた。
「よかったぁ〜」
焚火の方で乙骨の気の抜けた声が聞こえる。
そちらを見れば虎杖が体を起こしている。
八重はホッとして、脹相の体を軽く揺する。
「脹相…悠仁くんが、目を覚ましました…」
痛みで閉じていた喉から出てきた声は思った以上に掠れていた。
しかし、脹相を覚醒させるには十分だったようで一瞬でガバっと起き上がった。
そして不思議そうに自分の脇腹を擦った。
「…少し眠れたようで、よかったです。お身体はどうですか?」
八重としてはちゃんと障りはなくなっているかは確かめたい。
「…だいぶ良くなった」
未だ不思議そうにそう答える脹相に満足したように八重は笑う。
その笑顔が多少苦しそうでもこの暗闇なら気づかれることはない。
しかし。
「…震えているな。どうした?」
触れてもいないのにどうしてそんなことがわかるのかはわからない。
八重が答えないでいると、今度は手を取られる。
「手も冷えている…何かあったか?」
先程よりも声色に力が入っている。
こんな声を出すのは心配している時だということを八重はついさっき知ったばかりだ。
なので八重は心配かけまいと努めて明るい声を出す。
「じっとしていたので少し冷えてしまったようです。また動けば大丈夫ですので」
「悠仁も起きたことだし、焚火に当たりに行くぞ」
「いえ、立て込んだ話をしているようですし私はここにいますから、脹相は悠仁くんのところに行ってあげてください」
自分が今どんな顔をしているかわからない八重は明るいところへは極力出て行きたくなかった。
しかし、脹相も確証はないものの八重の異変に感づいているのかなかなか向こうへ行こうとしない。
そして、結局は「ここで話を聞く」と言って八重に身を寄せるようにして聞き耳を立て始める。
脇腹がズキズキと痛み、目の奥はズシリと重い。
しかし、近くに脹相がいてくれる。
身体が触れているところが温かくて心地よい。
八重も暖を求めて、無意識に身体を寄せてしまう。
たぶん脹相もそれをわかっているがそのままにさせてくれる。
それが今の八重にはとても心強かった。