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【呪術】もしも、希望の隣に立てたなら。【廻戦】

第43章 付添いと弁当


══閑話══
紅海はキッチンに立ち、明日の弁当のおかずを作っている
その向こうで、ロールカーテンを隔てたリビングから声がした
「……紅海」
『ん?』
「もしかして、卵焼き作ってんの?」
『そうだよ』
「ふーん」
少し間があって
「そっち行っていい?」
『うん』
足音が近づく…紅海が振り返るより先に、五条がキッチンへ入ってきた
そして皿の上に並べられた卵焼きを見つける
ちょうど切り分けているところだった
五条は紅海の後ろから腕を伸ばす
「一個もらう」
『え?ちょ』
紅海の身体を挟むように、五条の手が前へ出る
そのまま卵焼きを一切れつまみ
『ちょっと、悟!』
「……あつ……うま」
何でもない顔で食べる
その距離が近く背中のすぐ後ろに、五条がいる
紅海は包丁を持ったまま、ぴたりと固まった
心臓が、どくんと大きく鳴る
……近い
背中に感じる気配を意識してしまう
『……も、もう』
声が少しだけ上ずった
『明日のお弁当のおかずが無くなる…』
「じゃ、卵買ってくるから追加で一緒に僕の分も作ってよ」
『……え』
紅海は振り替えれない
「昔も作ってくれたでしょ」
『……覚えてたの?』
「まぁね」
あまりにも自然に返されて紅海は嬉しく思う

「じゃ、楽しみにしてるよ、今から卵買ってくる」
『……もう…じゃあ、悟の分、用意しとく』
紅海がようやく振り返る

五条は少しだけ笑っていた
いつもの、余裕のある顔…そして近い
そんな紅海の気持ちなど知らず
五条は、紅海を挟んで残った卵焼きをもう一つ
ちょいとつまんでペロリと食べる
紅海は同様を隠すためか、背後の五条に腕を延ばして離す
『あ、ちょっと!それ私の!』

「一個くらいいいでしょ」
『さっき食べたじゃん!』
「これは味見」
『味見は一個で十分!』
「じゃあ、もう一個は確認用」
『同じでしょ!』
キッチンに、紅海の声と五条の笑い声が響いた
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