第43章 付添いと弁当
すると五条が、何でもないように言った
「俺、グルメだからね…他人が作った弁当とか、ちょっと苦手なんだよね~…味付けとか微妙に違うし」
「悟、本人の前で言いすぎだ」
夏油がたしなめる
紅海は少しだけ表情を曇らせた
『そっかぁ…』
その顔を見て、五条は妙に気まずくなる
「…だからさ」
五条は紅海の弁当を指差した
「こういう市販品の方が安心じゃん?味も安定してるし?」
紅海が蓋を開ける
卵焼き、おにぎり、ウインナー、蓮根のきんぴら
五条はそれを見て
「それ、購買?」
と聞いた
紅海が答える前に、五条は卵焼きをひょいと箸でつまんだ
「あ」
紅海が声を漏らす
五条は気にせず口へ入れる
「…うま…」
もう一つつまむ
「ここの購買の弁当、結構うまいじゃん」
そして何気なく
「もう一個」
紅海が差し出す
『良いの?』
「ん?うん」
二つ目を食べて、五条は頷く
「やっぱ市販の弁当ってうまいよな」
その横で、夏油が肩を震わせていた
その姿を見て、五条はにらむ
「……何だよ?」
「いや?」
夏油が笑いを堪える
「その弁当、美味しい?」
「購買の弁当だけど、うまいよ?好みの味だけどね?」
『なんか、ありがとう……』
紅海は、なぜか照れている
それを見る五条の頭の上にはハテナが浮かぶ
「ぷっ……」
ついに夏油が吹き出した
「それ、紅海の手作り弁当だよ」
「…………は?」
五条が固まる
「い、言っとくけど、騙してないよ!?
悟が勝手に食べたんでしょ?」
紅海が慌てる
「なっ……騙したな!」
『してないって!』
夏油が笑う
「悟…手作りは苦手なんじゃなかった?」
「うっせーよ!」
五条は顔を逸らす
耳が少し赤い
紅海が小さく笑った
『でも……美味しいって言ってくれたの、嬉しいな』
「……別に」
五条はそっぽを向いた
少し間を置いてから
「……卵焼きは、うまかった」
「ほんと?」
「卵焼きだけな!後は食ってないから!」
そう言いながら、五条の視線はもう一度、紅海の弁当に向いていた
『じゃあ、今度、作ってこようか?』
あ、そっか!と、首をかしげて聞く紅海に
五条は不意を突かれた
「っな!お前が作りたいなら勝手に作れば?」
隣で、夏油は笑っていた