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【呪術】もしも、希望の隣に立てたなら。【廻戦】

第34章 編入生とイジワル


悪気はない本当に…
だから余計に胸糞が悪かった

“便利”

その言葉が妙に耳に残る

夏油は表情を変えないし
五条も笑ったままだった
ただ…その笑顔は少し冷えていた

最後に話したのは一人の女子生徒だった
中学から紅海を知っていたらしい

「あ~、流鏑馬さん?」
その名前を聞いて
彼女は少しだけ複雑な顔をした
「優しかったですよ…」
そう言ってから、少しだけ言葉を探す

「でも」
窓の外を見る
「ちょっと可哀想な事したかな?って」
五条と夏油は黙る
「中学の時なんだけど、周りの子達、流鏑馬さんの優しさに甘えてたんです…
頼み事ばっかりして…でも自分達の都合が悪い時は無視したり、突き放したり」
彼女は苦笑した
「あれは流石にどうなんだろうって思って、聞いた事あります」
「本人は何て?」
夏油が聞く

女子生徒は困ったように笑った
「庇うんですよ…大丈夫だよって」
その答えに、なぜか五条は納得した…あいつなら言いそうだと

「その子達も良いところあるんだよって…今日はたまたま機嫌悪かったのかも…私が気付かなかっただけかもって」

教室のカーテンが揺れた
「本人達もその関係が普通になってたから
余計に誰も止められなかったんだと思います」
その言葉にしばらく誰も話さなかった


呪物の回収は十分とかからなかった
校庭の隅、旧校舎に近い…古い祠…
…封印の緩んだ呪物を回収し、残を周りの呪霊を祓う
任務としては拍子抜けするほど簡単だった
補助監督への報告も終わる

帰り道…女子生徒達に見守られながら校門を出る
その頃には夕陽が長く影を伸ばしていた

夏油が静かに言う
「いや、本当、流鏑馬さんらしいね」
「うん」
五条も珍しく否定しない
頭の中に浮かぶ…高専へ来たばかりの頃の紅海
一歩下がる、遠慮する、謝る…
自分より相手を優先する

あれは生まれつきの性格だと思っていた
そうじゃなかったのかもしれない

あれは長い時間を掛けて学習した結果だったんだ
そう振る舞う方が傷付かないと覚えてしまった結果

五条はポケットに手を突っ込んだ
妙に腹が立つ
誰に対してなのか何に対してなのか
よく分からない

夏油が隣でため息を吐く
「悟」
「何」
「君、機嫌悪いね」

五条は笑った
「別に」
嘘だった…
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