第33章 宴と写真
「じゃあ、いつにする?引っ越しパーティー!」
虎杖の声が食堂に響く
野薔薇は早速、何を持っていくか考え始めているし、伏黒は巻き込まれる未来を察して微妙な顔をしている
その様子を眺めながら、紅海は小さく笑った
純粋に嬉しかった
自分のために何かをしようとしてくれる人がいる
それだけのことが、こんなにも温かい
交流会から続いた騒動
色々なものに振り回されていたせいかもしれない
いつの間にか忘れかけていた感覚だった
パーティーかぁ…
その言葉で、懐かしい感覚を思い出す
高専時代
まだ夏油もいた頃
何かにつけて集まっていた
任務が終わってパーティー
テストが終わってパーティー
誰かの誕生日でパーティー
今思えば、よくあれだけ理由を作れたものだ
中心にいたのは大体、悟と傑だった
二人とも人を巻き込むのが上手かった
編入してきたばかりの頃の自分は少し遠慮していて、よく硝子の隣にいた
硝子は何も聞かず、何も急かさず、ただ自然に隣にいてくれた
だから居心地が良かった
気付けば悟と傑に振り回される側になっていた
カラオケ
ゲームセンター
ファミレス
バッティングセンター
深夜のコンビニ
思い出す光景はどれも馬鹿みたいなものばかりだ
ゲームセンターで、格闘ゲームの対せん挑まれて
悟も傑も、最初は紅海の事を舐めていた
結果、二人まとめて叩き潰した
あの時の悟の顔は今でも思い出せる
桃鉄も何度もやったし
途中から悟がキングボンビーを押し付けてきて喧嘩になったこともあった
そしてRPG
あれは酷かった
木の根のダンジョンで、後は何でもない出口を出るだけ
特に仕掛けもない画面を延々と迷った
グラフィックが綺麗すぎてどこに出口があるか解らない
一時間
同じ場所をぐるぐる回って
最終的に傑が「貸してみて?」と、コントローラーを受け取って
『え?ここじゃない?』
たった30秒で出口を抜けた
その瞬間、悟が腹を抱えて笑い転げた
本当に悔しかった
でも、あの時の悟は、心から本当に楽しそうだった