第33章 宴と写真
═ある日の昼休み══
食堂は、今日もどこか緩い空気に包まれていた
窓の外では風に揺れる木々…
運動場の向こうから聞こえる生徒たちの声
交流会や呪霊襲撃の後とは思えないほど、平穏だった
「ね?そう言えば、紅海ちゃん、宿舎に引っ越ししたの?」
身を乗り出したのは釘崎野薔薇だった
「勿体ないじゃない…前のアパートの方が綺麗だったでしょ?」
『ふふっ、そんな事ないよ』
紅海はお茶を飲みながら苦笑する
『中は意外と綺麗なんだよ?最近リノベーションしたみたいで』
「えっ、マジ?行きたいんだけど?」
野薔薇の目が輝く
『えっ』
一瞬、笑顔が固まった
行きたい…それ自体は嬉しい
だが問題はそこではない
紅海の脳裏に浮かぶ
自分の部屋のリビングはロールカーテン一枚隔てた向こうに五条悟がいる
『あ、あはは……野薔薇ちゃん達と、部屋はそんなに変わらないよ?
珍しいもんじゃないし…ね?』
「何その反応…隠し事?」
野薔薇が訝しげに眉を寄せる
『してないよ!?』
している…正確には言えない
「紅海先生」
虎杖が箸を止める
「引っ越し蕎麦食べないの?」
『え?』
「引っ越ししたら蕎麦でしょ?」
『そうなの?』
紅海が、虎杖を見つめる
「いや、まぁ…知らんけど?」
「知らねぇのかよ」
伏黒が即座に切り捨てる
「ほら、なんか聞いた事あるし
紅海先生、引っ越しパーティーしようぜ!」
虎杖が元気よく言った
「楽しそう!ねぇ?紅海ちゃん!」
野薔薇も即乗っかる
『いやいやいや!そんな大した引っ越しじゃないし』
紅海は大慌てする
「「だから?」」
虎杖と野薔薇が同時に首を傾げた
どうしよう…
本当にどうしよう
監視体制について生徒への説明は禁止されている
当然だ…余計な心配をさせる必要はない
だが、説明できない事情がもう一つある