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【呪術】もしも、希望の隣に立てたなら。【廻戦】

第33章 宴と写真


高専宿舎に入って数日

夕飯は簡単に済ませていた
味の記憶が曖昧で…食器だけが機械的に片付けられていく

風呂上がりの熱がまだ肌に残っていて、濡れた髪をタオルでまとめる

そのままリビングに出て
一瞬だけ、足が止まる

——そういえば、ここにはもう一人いる

ロールスクリーンの向こう側に、五条悟がいる…はずだ
いる、と言われている…けれど実際には、気配だけが曖昧にそこにある

帰宅しているのか
寝ているのか…まだ仕事をしているのか
案外、隣の部屋の気配なんか解らないもんだ

紅海はソファに腰を下ろし、何となくテレビをつけた
適当にチャンネルを合わせて、画面に天気予報が映る

お茶を飲みながら、今日の授業の書類の整理をして
それから、今日の行動報告をタブレットに文字を打つ
こんなに毎日報告して、上の人は、ちゃんと見てるのかな?
「やっほー!みてるー?」とか書いてみようかな?
とか、くだらない事を考えながら…ふとテレビの方に顔を向ける

ドラマ?と思っていた画面には
暗い部屋、曖昧な影、突然のノイズ
ゆっくりと形を持ちはじめる“それ”が、画面の奥から滲んで見えてくる
独特のトーンのナレーションが入る

≪そして…これが、実際に撮れた映像だ…≫
衝撃的な映像が走る
≪おわかりいただけただろうか?≫

幽霊系だ!!!

紅海の指先が、即座にリモコンへ伸び画面を消す

苦手だった…
理屈ではない、呪霊とは別の、“理解できないもの”の気配が、思考の隙間に入り込んでくる感覚

消えたテレビの画面が妙に怖い…
静かになり、余計に想像してしまう…

視線が、自然とロールカーテンへ向いた
あの向こう側には、悟がいる

いるはずなのに、今この瞬間だけは、やけに遠い

黒い画面の中の自分の影が動くたび、紅海の恐怖心が膨れ上がる

呼んでみようか…
喉の奥が少しだけ乾く

結局、紅海は小さく息を吸って、カーテンの向こうへ視線を落とした
声は、思ったよりも弱く出た

『さ、悟…居る?』

返事がない

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