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【呪術】もしも、希望の隣に立てたなら。【廻戦】

第32章 監視と隣人


高専から少し離れたスーパー
買い物かごを片手に歩く男二人の組み合わせは
周囲の視線を集めながらも、当人たちは気にしていない

「で?」
五条がじゃがいもを放り込む
「由布湯、何か言いたい事有りそうだけど?」

遊佐は、やっぱり気付いていたかと苦笑する

「別に…」
「嘘だね」

しばらく沈黙が続く…淡々とニンジンや、カレールーの箱を入れていく

遊佐は玉ねぎを取り見定めながら
「監視対象やから言うて、流石に隣の部屋ぶち抜くんは、近すぎやろ」

五条は笑った否定しない

「そう?」
「そうやろ」

そして、おちゃらけた顔で人差し指をわざと口許に持っていく
「上が勝手に許可したんだから仕方ないじゃ~ん!」

「その許可取ったん誰や」
「さぁ?」

絶対お前やろ!
遊佐は飲み込んだ

言ったところで意味がない
この男は、監視=紅海を自分の目の届く場所に置くと最初から決めていたのだろう

それは執着の様にも見える
けれど同時に誰よりも本気で守ろうとしているのも分かる

だから厄介だった
肉売り場へ向かう
五条は迷わず牛肉をかごへ入れた
「高!!」

「え?肉なんて、高い方が美味しいんだよ」
「意味分からん理屈やな」

ふと、五条の足が止まる
「紅海さ…上層部の判断報告しに行った時、聞いてきたんだよね」

『もし、これで、また私が私じゃなくなったらどうしよう』
静かな声で、不安そうな顔をしていた

遊佐の表情が少し曇る

紅海は明るく振る舞っているが
不安が消えたわけではない

「それで?」
「大丈夫じゃない?って言った」

遊佐は呆れた
「はぁ…雑やな」

「だってさ、もし本当に人格変わっても僕が止めるしね?」
その言葉の色に、誇張はなかった
遊佐は苦笑した…この男には敵わないなと思う

「紅海は笑ってた方が良いでしょ?」
彼女に何があろうと、見離す発想は無い

「…そないに好きなんやなぁ」
ぽつりと漏れる

五条は笑った
「君もでしょ」

返す言葉はなかった
2人はレジへ向かう


監視対象…危険対象
上層部はいくらでも名前を付ける

けれど、自分達からすれば、ただの紅海だ
だから五条は、買い物袋を持ち上げながら機嫌良さそうに笑った

「早く帰ろ」
隣で遊佐がため息をつく
「はいはい」
その声には、どこか安堵も混じっていた
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