第32章 監視と隣人
その時、五条が遊佐を見る
「由布湯…」
「はい?」
「今日はありがとね、紅海の引っ越し手伝ってくれて」
お互いに笑顔
だが、六眼の奥は、ちゃんと見ている
遊佐の表情から読み取る感情
遊佐も気付く…だから、わざと軽く返す
「そらまぁ、紅海ちゃんの頼みやし…五条さん一人やと、絶対途中で面倒なって投げるやろ?」
「失礼だなぁ、んな事しないよ?」
五条は肩をすくめる…伊地知は、もう早く逃げ出したい
「ほんま?引っ越し作業終わった頃に出現とか、えらい社長さん出勤やなぁ思て」
「出現って…僕をポケモンみたいに可愛く言わないでくれる?」
軽い言い合い…二人の間では静かな火花が散る
紅海だけが、仲良いなぁ…と勝手に思っている
『あ、そうだ!』
空気を変えるみたいに、 紅海が顔を上げる
『じゃあ、ココでご飯食べる?』
「は?」
「え?」
男二人の声が被る
『え、だって外出ダメなんでしょ?』
『私、何か作るよ?』
五条と遊佐…一瞬だけ、 視線がぶつかった
『だから、2人で材料買ってきて貰えないかなぁ?』
「「は!?」」
ダメだ…流鏑馬さんの無自覚さが、お二人を振り回している!
「じゃ、由布湯、行くか?」
「えっ、ほんまに行くんですか?」
遊佐は、行動に出る五条に意外さを感じる
そのまま、2人は紅海に見送られ外に出る
遊佐は歩きながら五条の横で首をかしげる
すると、五条が気になるように…
「何?」
「いや…もっと、こう…何でこいつと!とか言われるんかと思って」
五条は笑う
「んな事、するわけ無いでしょ?別に嫌いな相手じゃないんだからさ~、え、やだ!?由布湯君は、僕の事嫌いなの!?泣いちゃう!」
「アホな演技すな!ちゃうねん……いや、ちゃうこと無いんやけど…まさか、五条さんと買いもん行くとは思わへんかったわ…」
遊佐は内心、嫌いな相手ではないと、さりげなく告げられ照れていた