第32章 監視と隣人
『……え、ちょっと待って…そういうこと!?』
伊地知が、 手元の書類を確認する
完全に事務モードだ
「ええと……」
紙をめくり、指でなぞる
「“プライベートでの外出は極力避ける事”
“任務以外の外出は記録を残す事”
“外出の際、五条悟が監視出来ない場合、一級術師、または相当の能力を持った人間が監視する事”」
読み上げるたびに、紅海の顔が引きつっていく
『……えぇぇ……』
遊佐は笑顔のまま、心の中で毒づいた
……くっそ
なんで俺、 補助監督やねん
いや、 実力的には監視側いけるやろ…
呪術師経験有るし、まだ、そこそこ戦えるぞ
でも規定上、術師じゃない…
あと一歩、届かず地味に悔しい
「任務だったら、等級関係なしの呪術師や、補助監督付きなら高専外へ許可下りるみたいですけど…」
「普通逆ちゃう!?」
遊佐のツッコみに伊地知は肩をビクつかせつつ答える
「そ、それは、恐らく…任務なら位置や内容が解っている分、緊急時に対応出来ますし…逆にプライベートだと、下手に動かれると対応が遅れたり最悪の場合、先日の件よりも被害が大きくなり兼ねませんからね…」
紅海は、その説明を聞いて、ますます現実を帯びてきた…
自分が起こした事件…大変な事をしてしまった…顔が下を向きかける
その時、ガチャっと玄関の扉が開く
「お、引っ越し終わった~?」
目隠しでラフな部屋着の五条だった
紅海が振り返る
『悟……』
「お疲れ~」
五条は部屋を見回す
大体、片付けられているが
多少の開けられてない段ボール、半端に物が入った棚
まだ雑然としている部分もある
その中に立つ紅海を見て、ほんの少しだけ表情が緩む
ちゃんと、紅海がいる…大丈夫だと確認する
「で?何、外食行こうとしてたの?」
『いや、だってお礼くらい…』
「ダメ~!!」
頭の上からチョップする
『ったぁー!?』
「君ねぇ…監視対象者なんだから、逃げたら困るしさ」
『逃げないってば!?』
「どうかなぁ…急に人格代わったら解んないからね~」
五条はケラケラ笑う
遊佐はその様子を見ながら、少しだけ眉をひそめた
……コイツ…距離近すぎるやろ
しかも自然すぎる…悔しい
伊地知は、空気を読んで少し後ろへ下がる
なんだか帰りたい…胃が痛い