第32章 監視と隣人
「あ~、それね?」
軽く笑う
その笑い方を、 紅海は知っている
これは、 誤魔化す時の、軽い笑い方だ
『……重い?』
「重くはないよ?」
嘘だ…紅海は解る
悟は、 本当に重くない時は、 もっと雑に…すでに言っているはず
今は、 言葉を選んでる
『悟…』
名前を呼ばれて、五条は少しだけ観念した顔をした
「まぁ……処分案は色々出た…」
紅海の指先が、 薄くシーツを握る
「でもさ、却下してきたよ?」
『……え?』
「処刑案とか封印案とか色々…物騒だよね、年寄り達はさ…何も変わろうとしない」
『……しょ…け?』
「だから、却下案だって」
今度は被せるように言った
紅海は視線を落とす…
「だから今後は、ちょっと監視付きで…」
指を1本出す
「単独任務禁止」
2本目
「位置情報共有」
3本目
「あと自宅でも監視付き」
『……そっか…』
監視と言う言葉にひっかかるが
思ったより、 軽く済んだ
いや、悟が 軽く済ませてくれたのか
紅海は理解する
これは、 悟が押し通してくれたのだ
自分のために…多分
胸の奥が苦しくなる
申し訳ないやら情けないやら
ちょっとだけ嬉しさも混ざる
『……ごめんね』
五条は首を傾げる
「何が?」
紅海は見つめる…その視線を受ける五条
『悟に迷惑かけたよね…立場悪くなってない?』
「別に?何今さら言ってんの?」
『でも――』
「それにさ…」
五条は、 病室の椅子へ、ドカっと腰を掛ける
長い脚を組みながら
「監視役、僕だから」
『……え?』
頭の中で監視ってなんだっけ?と監視の意味を探す
数秒遅れて理解する
『……は?』
「だから…」
五条は当然みたいに言う
「家の監視、僕」
紅海は間の抜けた声を再度出す
『……え?…いや、え?…な、なんで!?』
「他に誰がいんの?暴走した時止められる人。」
目隠しで眼が隠れていても表情は解る
五条は当然でしょ?みたいな表情をしている
『いやいやいや!!』
思わず起き上がると、五条に殴られた腹が痛む
『っう…』
「うわ、急に元気…どしたの?何か問題ある?」
『だ、だって!意味わかんない!!』
「僕は解るけど?」
『いや、悟が解ってても、私が解んない!!』