第31章 変化と進展
五条は軽く息を吐く
少しだけ迷うが
「紅海じゃなかったんだ…なんらかの方法で、魂に干渉されて…
ほら、前に宿儺が言ってた、紅海の魂に、ひっついてる巫女?」
言葉を慎重に選ぶ
「その巫女の人格が前面に出てた…」
紅海の指がシーツを握る
理解したくない
けれど――
胸の奥に確かに“誰か”がいる感覚
この感覚は間違えではなかったんだ…と確信する
『…私、何したの』
五条は少しだけ視線を逸らすが
紅海に変に隠すと気にするだろう
「繁華街で呪力フル解放して破壊しかけた」
『え…』
「あと…僕に告白してきた!!
やだ、照れる〜」
わざとモジモジし始める
五条なりの真実を軽くする方法
『え????』
悟に告白!?
何で!?何でそんなことになってるの!?
紅海の頭はパニックだ
五条は、わずかに笑う
「まぁ、それは紅海の意思じゃないけどね〜?
でも、やっぱり照れる〜」
わざとらしく五条は伝える
紅海の目が揺れる
確かに…ずっと、心の奥で、愛して欲しいって響いてた気がする
記憶がうろ覚えだ…
思い出そうとしても、巫女の人生をうっすらとしか思い出せない
巫女は自分を愛してくれる人を探していた…
その気持ちは、自分も解らなくもない…
幼い頃に両親を亡くし
祖母に育てられ…祖母は自分の事を愛情かけて育ててくれた
でも、両親が居ない事が寂しかった記憶がある
小学校も中学校も、皆、親友と呼べる友達がいたのに
自分は、どこか外側から眺めている感覚で…
心を預けられる友人が出来なかった
いつか、こんな私でも心を開ける友人が出来るのだろうか
…と思ったこともあった
形や大きさが違うかもしれないけれど
そんな寂しい気持ちと一緒な気がする
もし、巫女と対話が出来るなら
ちゃんと話を聞いてあげたい…そしたら寂しい気持ちが薄まるのかもしれない…
「紅海…もしかして、巫女に同情とかしてないよね?」
『えっ…だって…』
「自分勝手に、紅海の身体を乗っ取ろうとしてたんだよ?」
『うん…かもだけど…ちょっと話してみたいなって思った』
五条は、大きくため息をつく
紅海の、こう言うところに振り回される…
でも、こう言うところが好きだし
だからこそ、放っておけないと再確認をするのだった