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【呪術】もしも、希望の隣に立てたなら。【廻戦】

第31章 変化と進展



何故か夏油の事を思い出す
あの時、守れなかった者の気配が胸を過り
珍しく不安になる

小さく息を吐く
「……戻ってこいよ」
掠れた声


モニターが、わずかに揺れた
脳波が一瞬だけ乱れた

硝子が紅海を見つめる
「……紅海…」

薄く、瞼が震えた
流鏑馬紅海の意識が、ゆっくり浮上する

重い…身体が、鉛みたいに重い
高熱が出て…それから…何回も記憶を反復する

喉が乾いている
天井の白が、ぼんやり滲んで見えた
ああ、いつもの医療棟の天井だ…

「……ん……」

呼吸がしにくい


夢を見ていた気がする
いや――夢というより誰かの記憶みたいな

知らない男に手を引かれていた

ネオンの光、ホテル街

自分じゃない足取り
自分じゃない笑い方

胸の奥がざわつく

そこへ助けに来た二人
悟と、遊佐

「……助け……」

小さく呟いた瞬間、現実へ戻る
視界がはっきりする
「あれ……?」

身体を起こそうとして
「……っ」

腹部に鈍い痛みが走った
反射的に手を当てる

「……何これ…」

殴打痕のような痛みが有るが、記憶がない
思考を探っても、そこだけぽっかり抜けている

思い出せない…胸の奥に、もう一つの気配

けれど今は静かだった
巫女の魂は、深く沈んでいる
まるで眠っているように

紅海はゆっくり顔を横へ向けた
そして、目を丸くする

「あれ……?」
パイプ椅子に腕を組んで座る目隠しした男
少し俯き気味に眠っている

六眼の負荷を避けるため、目隠しを外さないまま


紅海は、五条をぼんやり見つめる
……悟

絶対、私、何かやらかしたんだ…ごめんね…また迷惑かけちゃって

罪悪感と共に、胸がじんわり温かくなる

身体を起こそうと動くと、ベッドのシーツがわずかに擦れる音がする

その瞬間、五条の指が、微かに動いた
「……起きた?」

目隠しの向こうで、正確に紅海を捉える
安堵が表情に出た

すぐいつもの軽い声に戻す
「おはよ、問題児!」

立ち上がり、ベッドへ近づく
「盛大に消えるから、探すの大変だったんだけど〜?」

確認するように紅海を眺める


「……覚えてる?」

静かに優しく質問をする
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