第31章 変化と進展
巫女の頬が紅潮する狂気に近い表情で叫ぶ
「ならば!!私が、その愛を受け取る!!」
遊佐が叫ぶ
「五条さん!!これ以上は、アカンやつです!!」
五条は小さく息を吐いた
「……なるほどね…紅海の記憶とも繋がってるんだ?」
巫女が笑う
「あぁ…記憶も感情も混ざりあっている…」
巫女は指を伸ばし、自信を指差す
「お前は、この身体を愛すると選んだんだろう?
どうだ?この身体の主が、お前をどう思っているか聞きたいか?」
魂の内側で紅海が叫ぶ
「ねぇ、やめて!!」
巫女より大きな呪力量で周りを壊す
「私は……愛されたかっただけだ」
その瞬間五条が巫女へ近づく
「お前さ、勘違いしてるよ…それ、君への愛じゃないからね?
紅海だから愛してんだよ?」
呪力が一瞬、揺らぐ…
巫女は五条に手を伸ばす
「その愛を私に――」
言い終える前だった
五条が、一歩踏み込み鈍い衝撃音
拳が迷いなく振り抜かれる
鳩尾を正確に捉えた一撃
紅海の身体が横へ吹き飛び、アスファルトを滑った
遊佐が目を疑う
「……っ!? 五条さん!?」
五条は拳を下ろしたまま、淡々と言う
「悪いね…紅海に手出せないと思った?」
少しだけ肩を竦める
「こないだも俺ら、普通にやり合ってるから。」
倒れた巫女の身体
衝撃は肉体ではなく――魂へ届いていた
「……な、ぜ……私は……選ばれたかった…だけなのに…」
紅海の意識が表へ出る…
遊佐が即座に駆け寄った
「紅海ちゃん!」
崩れ落ちる身体を抱き止める
力が完全に抜けて意識が無い…だが呼吸はある
五条も近づき、しゃがみ込むと紅海の顔を覗き込む
遊佐が五条に伝える
「大丈夫……気ぃ失っとるだけや」
五条は紅海の額にかかった髪を指で払った
無意識に、ほんの少しだけ触れ方が柔らかくなる
遊佐がちらっと見る
「五条さん、あれ、本気で殴ったやろ」
「ん?」
五条は立ち上がる
「当たり前…取り返すって決めてたからね」
帳が上がると、遠くからパトカーの音が聞こえる