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【呪術】もしも、希望の隣に立てたなら。【廻戦】

第31章 変化と進展


五条が静かに呟く
「……やめろよ…そう言うの、紅海が一番嫌うやつだ」
巫女が笑う
「知らんな…私は愛されたいだけだからな…」

一歩、また、さらに距離を詰める
五条が近づくと巫女の呪力が押し返される
「紅海はね…無理やり奪うヤツじゃない」

巫女の意識に隠れた、もう一つの気配
沈んでいる本来の意識を感じる

だから五条は、わざと挑発する
時間を稼ぐために
「ねぇ…」
笑った
「借り物の身体でイキって楽しいか?」

巫女の呪力が一瞬、乱れた
その揺らぎを五条は見逃さない
「紅海…」
真っ直ぐに名を呼ぶ

「起きろ」
世界が一瞬、静止した

巫女の瞳が揺れ何かが動いた
呪力が渦巻き、ネオンが歪み、帳が軋んでいる

音がない光もない
ただ、水面のような空間が広がっている
静寂…足元に波紋が立つ
流鏑馬紅海は、ゆっくり目を開けた
「……ここ……」
身体が軽い熱も痛みもない
現実ではないと直感で分かる

そして正面に、もう一人
白装束の長い黒髪
巫女が立っていた

ああ、私の奥深くにこの人は沈んでいたんだな…
…と、理解した瞬間…記憶が流れ込んできた

巫女の記憶と、紅海の記憶が混ざる
巫女の呼吸が乱れる

五条を中心に…紅海の楽しかった事苦しかった事の
記憶や感情がそのまま流れ込む
巫女の人生には存在しなかったもの…紅海に嫉妬する

水面が荒れる…紅海が巫女へ一歩踏み出す

巫女が睨む
「私は一度も選ばれなかった!
巫女として祀られ!
子を産む器として使われ!
魂まで差し出した!!」

呪力が内側から噴き上がる

現実世界

繁華街の帳の内部では
ビルのガラスが震え、空気が渦巻く

遊佐が歯を食いしばる
「……っ、呪力量、まだ跳ね上がるんか!?」

紅海――いや、巫女が顔を上げる
瞳はただ一人、五条を見つめる

「……お前……お前は、この女を愛しているんだろう?」

五条は無言で巫女から目を離さない
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