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【FF7】ボクシング・デー

第8章 ボクシング・デー


「家にいる。行ってやれ」

無事ならいいと胸を撫で下ろしたアグレイスはルードの言葉に黙る。

「なんだあ? 俺を殺そうとするほど心配してたんだろ? 家くらい…うぐっ」

後輩の刺々しい口調は、ルードによって強制的に止められた。

ロッドの言う通りだ。見舞いに行くのに理由はいらない。

「アグレイス」

焦げた葉の香りが鼻をくすぐる。肩にかかった重さに顔を上げると、ルードの上着がかけられていた。
改めて自分の姿を見下ろせば、粉塵に煤、破れた袖からは黒々とした血の滲みが痛々しい。

「ケアル」

ルードの重みのある低音が優しい光を生み出す。痛みも疲れもスーッと呑み込まれていく。

「あの時とは逆ね」

「レノは昨日八番街にいた」

「ありがとう」

アグレイスは柔らかく微笑むと、来た時とは反対にゆっくりと自動ドアが開くのを待った。


******


最後の段に足をかけて、体を引き上げる。

最上階。

この上は屋上しかない。

短い廊下に一つしかない扉を前に小さく嘆息した。

震える人差し指がボタンを押す。

一、二、三。

もう一度押すが、インターフォンは無音を返す。

ルードの言うことに間違いはない。レノは間違いなくここにいる。
胸元から取り出したパスケースには、いつだったかレノに渡されたカード型のスペアキーがあった。
今まで取り出すことすらなかったパスケースの重鎮には傷のひとつもない。

戸口に当てれば、すんなりと扉のロックは解除された。

入り口を背に薄暗い廊下の突き当りの扉を開く。

向けられたのは銃口。

アグレイスは両手を軽く上げて、降参のポーズを取った。この至近距離ではさすがに避けきれない。

「私よ」
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