第1章 とある島にて
ノックという概念がない扉に向かって大きな声で告げる。
「失礼します。傍 夜徒、ただいま見参いたしました」
「入ってくれ」
無機質な機械音と共に開く大きな自動扉。
背中を向けた大きな背の椅子の方から声がする。
許しを得たため近付こうと歩みを進めたが、どこにいたのか暗闇から長い棒のようなものが飛び出てくる。
「無礼者!聖帝様に近付きすぎだ!」
「……会話をするのに相手の目の前に行くのは当たり前では?」
「なっ……!」
しまった、と思ったのと低い声で静止がかかったのはほぼ同時だった。
思わず己の立場を忘れてしまうところだった。というか忘れていた。
ギィ、と椅子が斜めに動き、声の主の身体がこちらを覗いた。
「しばらく2人にしてくれないか、外で張っていてくれ」
「しょ、承知いたしました……が……」
渋々という様子の彼らをキッと睨みつける暗い瞳。
鋭い眼光に刺されたかのように、黒衣に包まれた2人はそそくさと部屋から飛び出していった。