第1章 とある島にて
「……すまなかったな、呼び出しておいて」
「いいんですよ、『豪炎寺』さん。なかなか落ち着いて話せる場所もないでしょう?」
ほろりと目尻が下がる。凡そ表では見せることはないであろう、優しい彼のままの表情だ。
__聖帝イシドシュウジの正体と隠された目的に何故僕は理解があるのか。これもまた、話せば長くなる話題だ。
「とはいえ、長々と話すわけにもいかない。手短に済ませよう。」
くるりと椅子が回りきり、僕の正面に彼の姿が見える。
薄暗い部屋の光が彼のアクセサリーを照らしてキラキラと輝いている。
「……傍 夜徒、お前をシードとして雷門中に派遣する」
「僕をですか?風の噂では京介が行くと聞きましたが」
「非常時のプランBとして、お前を雷門に置いておきたい。あくまでも剣城京介の補佐という名目で、実質的な関与はなくとも構わない。サッカー部に関与するかどうかは現場での判断に任せる」
「随分と信頼されているのですね?この島でも、飛び抜けて優秀でもない僕に」
「そもそもこの島に集められている者自体、選りすぐりのエリート達だ。それに、この分野はお前の十八番だろう?」
思わず口を結んでしまう。この人はいつもこうだ。
人を乗せるのが上手いというか、根回しが的確にされている。
ぐうの音も出しそびれるくらいに。
「……わかりました。当たり障りなく、いかせてもらいます」
「頼んだぞ」
彼の真っ直ぐな瞳に面と向かっていられなくて、僕は思わず目を逸らしてしまった。