第8章 第八話
「……」
気づくと涙が流れていた。
そうだ、私は誰かに知ってほしかった。
この秘密を隠し続けることが本当は苦しかった。
「…ごめんなさい」
私はただ謝ることしかできなかった。
「なぜ謝る。お前の魔法を責めているわけじゃない」
「でも、私はみんなをだまして…」
「だましてなんてないだろ。お前は帽子を作ってる。方法が違うだけだ」
「でも!!私の魔法じゃないんです!!あの、金の眼の男
の魔法で…!」
「どういうことだ?」
私はもう全部白状することにした。
「どうぞ」
そう言って二階の部屋に通した。
そして、例のシルクハットを見せた。
最初、???って感じだったが、何か感じるものがあったのか、神妙な面持ちでシルクハットを見ていた。
「じゃあ、作りますよ」
そう言ってシルクハットに、今日作った物と同じ、希望していた防火頭巾を頼んだ。
すると、あの妙な気配を放ちながら、シルクハットは帽子を生み出した。
セカはその様子を息をのんでみていた。
「…こういうわけです」
「いや、全然わからないけど…」
間髪入れずにセカに突っ込まれる。
「この帽子の持ち主は、私ではありません。金眼の男です。きっと魔道具です」
「魔道具…」
私はそっとシルクハットをセカに持たせた。
セカは覗いたり、振ったりしている。
「私、それを届けようと追いかけたんです。そしたら、この町にいたんです」
「何をついでみたいに大事なことサラッと言ってるんだ。誘拐みたいなもんだろ」
「たしかにー」
なんだか、笑えてきた。
「もうさー、嫌になっちゃうよぉ。家族も友達もいないしさ、働いたこともないのに、こんなことしてさ…」
泣き笑いしていると、ふわっとセカがほほ笑んだ。
「もう大丈夫だ。もう、一人で無理をするな」
「うううう…」
私はシルクハットを抱えたまま、その場でうずくまって泣いた。
ああ、私ってなんて馬鹿で不器用なんだろう。…本当に馬鹿。