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シアンの帽子屋さん

第9章 第九話


「なんだ…これは…」

後日。落ち着いたときに、セカに頼まれていた防火頭巾を渡した。

「私もわかりません。なんかの皮ですね」

「鱗がある…」

「あ、本当だ」

「もしかして…サラマンダーの皮…?」

「さら?まんだ?」

「幻の魔物だ」

「まっさかぁ」

とにかく被ってみなよと言って、被らせた。

「もしも、サラマンダーだと思うと物凄く防ぎそうだ」

そう言って目をキラキラさせているセカ。

そんなわけないやーん。そんなわけ…ないやん???

「幻の魔物なのだとしたら、誰もその形分からないんじゃ?」

と、夢のないことを言って、その話は終わった。


「私も魔法使い登録したほうがいい、ですか…」

「登録しておけば、何かと便利かと思う。変な嘘つくことないしな…」

「なるほど」

なんか、魔法使い登録すら嘘をついている気がしてしまう。もう、嘘をつきすぎて何が何かわからんくなってきた。

「…とにかく。もう嘘はつきたくないので登録します!!」

こうして、私は魔法庁に行くことになるのだった。




~魔法庁~

(お、お、お城じゃん!!)

見たことないような巨大な建造物だった。
シンデレラ城とはまた違って、ちょっとまがまがしい雰囲気のある緑色のお城。

私はお城の前で深呼吸した。


「俺は魔法庁には入れない…」

申し分けなさそうに言ったセカ。
いやいや、さすがに私甘えすぎだと思う。
それくらい、私にだってできるし!!!

そう言ったものの、こんなすごいお城だと思ってなくて、ビビる。

一歩踏み込んで、中もまたアンティークな家具が置いてあって、雰囲気のある内装だった。

「なんだ、貴様は!」

田舎丸出しでキョロキョロしていたら、衛兵に声をかけられてしまった。

「あの、私、ハリーナ様の…」

「ああ、貴様、越権町民か!!」

「えっけんちょうみん…?」

「言葉の通りだ!貴族の中の貴族の権利である魔法を行使する、越権行為。みんな貴様をそう思っている!」

…つまり、この魔法庁に、私の味方は誰もいないってことだ。


受付の前に立ち、周りからの視線に耐えながら、質問に答えていく。

(私、そんな悪いことしたの?)

受付のお姉さんすら奇異の眼で見てくる。

なんとか耐えて受付を済ますと、私は奥のほうのお部屋に通された。

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