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シアンの帽子屋さん

第7章 第七話


そして、そっくりな帽子が出てきたのだが、シルクハットの中にある時から、金木製の香りがした。

「いいにおい」

スケッチブックとも瓜二つだし、成功したようだ。よかった。

そして、問題は防火頭巾だ。

「あ、セカにイメージ聞くの忘れちゃったよ。どうしよう。防火頭巾って、どんなやつだろ」

とりあえず、布面積が大きくて、頑丈そうなやつよね。

「シルクハット氏、お願いします」

すると中から分厚い皮が一枚出てきた。

「え?これ完成系なの?」

広げて見てみると、被るタイプの帽子みたいで、口もとまで皮がくる。

「あーなるほど。熱い空気を吸わないようにってことかな?」

なんか帽子とは言い難かったけども、とりあえず渡してみることにした。

こうして準備は整った。

次の日

9時半になると、またしてもあの金髪が入り口の前に立っていた。

「…今日はお前に情報を渡そうと思ってきた」

まあ、それが一番重要な任務だもんね。

「なにか、わかりましたか?」

「この国に登録している魔法使いで、若い男を探してみた。金の眼かどうかまではわからんが」

そう言って、20枚弱の似顔絵(肖像画の簡易的な奴)を出した。

「この中に、いそうか?」

「……」

記憶をさかのぼり見てみるも、似てると言えば似てるし、似てないと言えば似てない、程度の感じ。

「どんな魔法を使うのか、それもわかればもっと絞れる」

「なるほど…」

でも、どんな魔法かと言われるとちょっと困った。

「えっと…空間を歪ませる魔法?」

「なんだ、それは???そんな魔法あるのか?」

「ないものを作り出せる能力?」

「そんな変わった魔法、登録にないぞ…」

火とか風とか、そういうのが魔法だと言われる。

「え…じゃあ、魔法じゃないの?」

「いや、俺の知識の及ばぬ何かがあるのかもしれない…」

二人は、ただ似顔絵を見つめることしかできなかった。
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