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シアンの帽子屋さん

第6章 第六話


平和に見えて、危ないところだったのか!
「まあ、この通りは割と治安はいいほうだが、女ひとりの商売じゃ、狙われるからな。…それで、少しの間お前の様子を見てほしいと言われた」

なるほど…ハリーナ様、やさしすぎる。
私はほっとして声も出なかった。

「剣…」

ずっと気になっていたのだけど、彼、帯刀しているのよ。

「なんだ、珍しいものでもないだろ」
「いえ、模造刀しか見たことなくて」
「そっちのが珍しくないか?」

そうなんだ…。
そうだ、これを機に、この世界についていろいろ聞いてみよう。

「あの、セカ。私は世間に疎くて。いろいろ聞いてもいいですか?」

「俺のこたえられることなら、なんでも」

「まず、この世界に魔法はありますか?」

「この世界?…魔法ならあるが。俺は使えないが」

「え?普通にみんな使えるの?」

「そんなわけあるか。一部の特権階級の、しかも魔法の才能のある者だけだから、本当に一部だぞ」

「へー」

「お前、世間に疎いというか…普通に生きてて知らないことのが凄くないか?」

そう言われましても。
でも、これで少し絞れたかも。
金眼は魔法が使えたからね。

「私の探している男は、魔法が使えました」

「そういう…大事なことは先に言うんもんだ!」

パチッと頭を叩かれる。
暴力反対ー!

でも、この人になら。
この人たちになら話しても大丈夫かもしれない。
そう思いながらも、なかなか勇気が出なかった。

信じてもらえないかもしれない。
変な目で見られるかもしれない。

そういう不安で、私は核心部分は話すことができなかった。

「とにかく、その人が見つからないと、とても困るのです」

「…魔法が使える者ってなると、かなり限られるぞ。この国の者だったら、魔法庁に登録されているしな」

「なるほど…」

魔法庁とか知らない言葉が出てきたけど、もうわからないことが多すぎてスルーしてしまった。

「少し、探す範囲を変えてみる。部下に伝えてこよう。俺はこのまま屋敷に戻るから、お前はしっかり戸締りして、夜は出歩くなよ」

「あ、はい」

また一人か。
強盗の話も聞いたし、私は不安になった。
それが顔に出てたのか、セカは珍しく優しい声色で言った。

「明朝、オープンまでには来る。しっかり起きて、仕事してろよ」
なんと、このお方、私が朝苦手なことを知っておるのか!!
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