第5章 第五話
「ああ、疲れた。今日はもう終わりでいいや!!」
お店は不定休にしよう。そう思った。
「あ~変なのが来たせいで忘れてたけど、あの金目の男を探すんだ!」
金の目は目立つから、聞き込みすればすぐ見つかる気がした。
しかし…
「金の目ぇ?そんなの見たことねえなぁ!」
「なんか怖いわね、知らないわ!」
人見知りだけど頑張って聞き込みしたけど、一つも有力な手掛かりは見つからなかった。
「こんなに…見てないもんかなぁ…」
一回見たら忘れなさそう…と思いつつ、私も金の目とスーツしか思い出せないのだ。アイツ、なんか催眠術でも使ったのかな。
そんなことを考えながら、自宅に戻ってみたが、…家具がないのだ。お店のテーブル以外、なんにもなくて…
私がとりあえずご飯とお布団を探しに行きました。
お鍋とかも揃えないと。
そして、家具などを揃えていたら、あっという間に3日が経っていた。
(今日かぁ)
オープンは10時だが、二階からちらりと例のカスハラの金髪が見えていた。まだ9時なのに~
ちょっと寝坊をしたけど、オープンに間に合えば、セーフよね。
「しかし、どれにしようかね。」
シルクハット氏が、全部で八つも帽子を出してきたのだ。
とりあえず、一番最初に出した、ピンクのヘッドドレスにした。
「これを、お前が三日で???」
10時きっかりにお店を開けて、すぐに渡した。
「はい。なんか文句でも。」
カスハラは客じゃない精神の私は、さっさとお帰り願いたかった。
「いや…お嬢様に渡すよ。ありがとう」
「へ!!!??」
唐突にお礼を言われたので、私は結構動揺した。
「いえ…」
少し申し訳ない気持ちになり、店の出口までお見送りした。
そんなに悪い人じゃないのかな!←単純
と、見送って半日。
立派な馬車が、うちの前に止まった。
「セカ。この犬小屋のようなお店で間違いないのかしら!」
そして、現れたのは、肖像画よりも美しいお嬢様。とんでもなく口が悪いが。
「はい」
そのセカは、いつもの感じじゃなく、しおらしかった。
「犬小屋…いらっしゃい、ませ…」
ちょっと傷つきながらも挨拶すると、お嬢様は、
「あら。職人はどこにいるのかしら。まず会いたいわ」
と言ったので、
「あ…」