第1章 マグル好きのお嬢様
「いやいやいや、きっと僕といたほうが得があるさ。ほら、君にとって僕は友達なんだろう?」
「だから言っただろ。ちゃんと友人が作りたいって。確かにお前以外に同年代の子と交流がないのは確かなんだ。ちゃんとした頭を持っている友人を作っておきたい」
「それって、僕のことを遠回しに貶してないかい??」
ルーアは自分のことを以外にもしっかり評価できていた。自意識過剰な性格にも思われがちだが、彼女は自分のことを過小にも過大にも評価したことがない。
ルーア自身は、自分のことをこの残念な性格のせいで友達も取り巻きも何1つ持たない寂しい奴。だが、顔はいい。と評価している。
もちろん、マグルが好きというところが変わっているともわかっていた。
「そう、それこそマグル出身の子とかとな。きっと友達になれば向こうのことを色々教えてくれるに違いない!」
「なんで穢れた血なんかと__」
「アリス!!」
しまった。ドラコはそう思ったがもう遅い。“穢れた血”という言葉に反応して、ルーアは大声で自らの使い魔を呼び出した。
ズルズルと床を這う音が聞こえる。素早く、迷いのない音が。ものの数秒でその音は2人のすぐ横に来ていた。
「アリス、おいで」
珍しい、ルーアの優しい声が聞こえる。その声は、白い蛇に向かっていた。
シューシューと返事をするように鳴きながら、アリスと呼ばれた純白の蛇は、ルーアの腕に巻き付く。
「アリス、この大馬鹿者を追っ払って」
「ちょ、ちょっと待ち給え。わかった、わかった。僕は一旦帰るよ。だからその蛇をしまってくれ!」
「5秒で引き返せ」
ルーアはドラコの命乞いのような懇願を気にもせず、蛇をドラコに向けた。
「う、うわあ!!」
情けない悲鳴と共に、ドラコは帰っていった。
「全く、マルフォイ家が聞いて呆れる。なあ? アリス」