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ハリー・ポッターと調教師見習い

第1章 マグル好きのお嬢様


「どちらが杖腕ですかな?」

 杖腕? とルーアは頭を捻った。聞き手の話か?

「ルーア様は、両利きでございます。が、基本的に右手を使っております」

 顔をしかめ、ウンウン唸るルーアを横目に、ハーヴィンが代わりに答えた。

「腕を伸ばして」

 オリバンダーの言う通りに体を動かす。肩から指先、手首から肘、肩から床、膝から脇の下、頭の周りと寸法を測っていく。

「エイベルさん、この店の杖については知っておりますかな?」
「ああ、ここの店では三種類の物を芯に使用しているんだよな。それぞれが違うから、ここには同じ杖は存在していない。他の魔法使いの杖を使っても自分の杖ほどの力は出せない」

 ルーア本を音読するようにスラスラと口にした。

「素晴らしい、その通りじゃよ。では、エイベルさん、これをお試しください」

 ルーアが、店内の雑多に置かれた箱を眺めているうちにオリバンダーが杖を何本か持ってきた。

 1本目の杖は、振った瞬間に閃光を放ち、自分の手から離れていった。2本目の杖は、ルーアが握った瞬間にオリバンダーが引ったくるようにして奪った。

 そのようにして、他にも数十本の杖を握ったり振ったりした。立ちっぱなしのルーアは、いよいよ面倒くさくなってきて、次に渡された杖をへし折る覚悟で強く握った。

 引ったくられもしない。閃光も放たない。そのかわりに、指先にほんのりとした暖かさを感じる。

 あるのが当たり前かのように手に馴染む。そのまま杖を振ると杖先から金色と白色の光が踊りだし、流星のように流れた。
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