第1章 マグル好きのお嬢様
「ブラボー!! ブラボー!! 素晴らしい!」
オリバンダーが軽く叫び、ハーヴィンはすっと目を細め笑った。ルーアだけは、何が起きたか理解できないまま呆然としていた。
「さて、さて、さて、エイベル様、こちらが貴女の杖ですよ。月桂樹と不死鳥の羽根、23センチ、よくしなる。この杖は選り好みしやすい組み合わせなんじゃ。月桂樹は怠惰な持ち主のもとには留まらず、不死鳥の羽は所有者に忠誠を示す際の気まぐれさで知られておる。くれぐれも気をつけて扱うように。」
「は、はあ」
ルーアが呆然としていることに気付かないのか、オリバンダーは追い立てるようにして言った。
ぼーっとしているうちにハーヴィンが会計を済ませ、気づいたときには店を後にしている。
「ルーア様、ルーア様、いつまでぼーっとしているのですか? 目的のものは買えたので帰りますよ」
ハーヴィンがそう声をかけてくれるまで、ルーアはただまっすぐと進むだけだった。
(これが、杖を選びか。思ったよりあっさりしているんだな)