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音楽室の赤リボン

第1章 零


最近の光は以前に増して頼られたがりというか何というか。僕がやろうとすることを何でもやりたがるというか。つい甘やかして何でもかんでも褒めていたのが良くなかったのだろうか。でも年下って可愛いものだしとても辞められそうに無いので常識の範囲内で大人しく厚意に甘えておこうと思う。あのキラキラした瞳でおねだりされたらなんだってしてしまいそうになる。源家の面々は皆顔が整っていて、その上で僕の好みにどストライクだからどうしても弱くなってしまうのだ。2人の心配性も加速してる気がするし、少し申し訳ないな。

源家の家から僕の家はすぐそこだ。というかもうお隣さんだ。家族ぐるみというか、僕が源家に入り浸り、彼らが花咲家の合鍵を持っているのはそういう理由だ。そのうち僕の生活を24時間365日某ホームセキュリティのように監視されサポートされる日も遠くないのではなかろうか。……せっかく光がお皿を洗ってくれているのだから、僕は早く登校の用意をしよう。と言っても荷物は昨日のうちに纏めておいたからそう時間もかからないけど。

洗面所でやることを済ませて自室に戻る。床の上に敷いたままの布団──敷くだけ強いて夜中放置されていた哀れな布切れ──は見なかったことにして新たな制服を身につける。買ったのは1ヶ月前だが新品同様パリッとしていた。髪を結ぼうと机の上の細リボンを手に取るが、ぐちゃぐちゃに絡まっていて僕には解けそうもない。諦めてポケットにリボンを押し込んで登校用のリュックに記憶ノートを入れ片腕に通した。忘れ物は無いか確認していると、外から光が大きな声で呼びかけて来るのが聞こえた。それに「すぐ行く」と返した僕は部屋を飛び出した。その際リュックが当たって倒れた椅子は次に椅子を使う時の僕が元に戻すだろう。
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