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たまのケージ【ヒロアカ】

第19章 笑わない人が笑った時ってキュンとする(爆豪勝己)


「……スティーリア、です」

 スティーリア……

 確か、どっかの言葉でつらら……だっけか……

「あっそ……」

今は思っている事を素直に口に出した方が、話は続くというのに勝己はそっけない返事しか出来なかった。


また、2人の間に沈黙が流れる。


夜の街のざわめきが、少しだけ鬱陶しかった。


「……爆豪さん」


漸く、繭莉が口を開いた。


「どうして、私なんか追いかけてきたんですか」


そして、そんな核心を突く質問をするもんだからどう答えればいいのか分からなくなる。


「……別に、追いかけてねぇよ」


また散々考えて、こんなそっけない答えを返す事しか出来なかった。


「そうですか……じゃあ、私はこれで」

いつの間にか、上鳴の事務所まで来ていたらしい。

繭莉は勝己に軽く頭を下げると、事務所のドアを開けた。

「……爆豪さんって」

そこで、繭莉が顔だけ後ろを振り向いた。



「やっぱり、不思議な人ですね」



そう言って、また僅かに微笑んだ。



その表情を見るだけで、また息が出来なくなる。



心臓が、煩く音を立てる。



もう、視界の中には繭莉しか、入らない。



「繭莉」

勝己は、衝動的に繭莉の腕を掴んでいた。

「爆豪さん?」

そして、その腕を引いて事務所の中へ連れ込んだ。

「あの、どうし……っ!」


突然そうされて戸惑う彼女を、気付けば夢中で抱きしめていた。


誰もいない事務所に、少し上がった2人の息遣いだけが響く。



繭莉の身体の温もりが、身体にダイレクトに伝わる。

繭莉の優しい匂いが、鼻をくすぐる。

勝己はそれ以上何もする事なく彼女を抱きしめ続けた。



何故かって……自分で抱きしめておきながら、勝己は混乱していたからだ。



 何してんだ?俺。

 つうかこれからどうすんだ?

 ……いや……どうって……

 どう……

「っ、爆豪さん」

不意に名前を呼ばれて、勝己は我に返った。

「……苦しい、です……」

どうやら、考えている内に腕に力が入ってしまって強く抱きしめすぎていたらしい。

「っわり……」

繭莉から離れようと腕の力を緩めたその時、彼女の右手が勝己の肩に置かれた。
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