第19章 笑わない人が笑った時ってキュンとする(爆豪勝己)
そして、次の瞬間唇に柔らかなぬくもりを感じた。
繭莉に、キスされていた。
「……っ……」
事務所の中が静まり返っていて、外の道路を走る車の音がやけに頭に響いた。
どれくらい、そうしていただろうか。
繭莉の唇の温もりに溺れそうになっていると、突然唇は離れていった。
「……すみません、私……」
勝己からパッと身体を離し、繭莉は背を向けてしまった。
自分の身体に残った熱が、鼻の奥に残った匂いが、勝己の感情を揺さぶった。
繭莉が好きだから、もっとしたくなってしまう。
勝己は、後ろから繭莉を抱きしめていた。
「っ!」
驚きを隠せない彼女の手から、書類がぱさぱさと床に落ちていく。
「あ、あの……」
今度は、彼女が苦しがらない程度に優しく抱きしめる。
好きなんだ。
俺は、繭莉が。
そう思いながら、首元に顔を埋める。
「んっ……」
髪が首に触れてくすぐったいのか、繭莉が身じろぎするのにも構わず首筋に何度か唇を押し付けて、軽く吸う。
「あっ」
繭莉の口から、今まで聞いた事もない甘やかな声が漏れた。
その声を聞いた瞬間、勝己の中で何かが崩れた。
「っきゃ!」
繭莉を担ぎ上げると、近くにあった机に座らせる。
「爆豪さ……」
そして、今度は唇にキスをした。
「んっ……ん……」
理性もぐずぐずに崩されて、勝己はもう何も考えられなかった。
夢中で何度も触れるだけのキスを繰り返す。
「んっ、ばくご、さ、んっ……あの……っ!」
そして、繭莉の上半身を机に押し倒した。
「……っ……」
目の前の繭莉は、顔を赤く染めてこちらを見ていた。
それは、初めて見る表情。
それを見れたのが、なんだか嬉しかった。
「……なんつう顔してんだよ」
嬉しいくせに、ついそんな言葉が口を突いて出てしまう。
「これは……その……っ!?」
勝己が欲望のままに繭莉の服の中に手を差し入れた所為で、続きが聞こえる事はなかった。
脇腹をつっとなぞって、腰骨に手を添える。
「ん!……っ……」
それに感じているのか、繭莉の身体がピクっと反応した。