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たまのケージ【ヒロアカ】

第19章 笑わない人が笑った時ってキュンとする(爆豪勝己)


しかし、勝己はどうして彼女に見惚れてしまったのか分かっていなかった。


それは、どうしてか。


彼は、ヒーロー活動に勤しみすぎて恋愛というものを随分後回しにしていたからである。


だから、初めての感情に勝己は混乱していた。


「……は……」

 なんだ?

 よく分かんねえけど……


 胸の奥が苦しい。


 息が上がる。


 なんでこうなった?

 たかだかアイツが笑ったくれぇで……

 あ?

 笑ったから?

 笑ったからなんだっつうんだよ。


 ……俺……


「爆豪さん?」

不意に繭莉に呼ばれて、勝己は我に返った。

「な、んだよ」
「いえ、急にぼんやりされたので……どうしたのかと」
「……どうも、しねえよ」

そうは言ったものの、自分の心臓が煩い程に音を立てる。

どうしてそうなるのか。



考えても、今は答えが出なかった。



「俺、帰るわ」

取りあえず、繭莉には何故かこんなのを気付かれたくないと思った勝己は足早に店を出た。



いとも簡単に恋の沼に突き落とされてしまったのというのにも気づかずに。









自分の中の恋心に気付ける事もないまま、1週間経ったある日の事。


その日はたまたま、事務所で溜まった事務作業をしていた。

すると、机の上に置いていたスマホが音を立てた。

相手は、上鳴だった。

構ってる暇はないと思いつつも、通話ボタンをタップする。

『爆豪!ちょっとお前、繭莉ちゃんに何言ったの!?』

スマホから聞こえてきた声は、どこか嬉しそうだった。

「はぁ?いきなりなんだテメェは!」
『いやっ、だってさぁ!さっき繭莉ちゃんから電話かかってきてさ』

繭莉の名前が出た途端、あの日の胸の痛みと鼓動が蘇る。

「かかってきてなんだよ」

電話の向こうの上鳴に気付かれないように、冷静を装う。

『なってくれんだって!サイドキック!』
「あっそ」
『で、俺の番号教えたの、爆豪だって言うじゃん!なんか、言ってくれた?って思ってさぁ』
「なんも言ってねぇよ」

勝己は、あの日の繭莉との話を咄嗟に隠した。


あの日の事は、秘密にしておきたい。


秘密にしておかないと、自分のこの訳の分からない感情がなんなのか暴かれてしまいそうで怖いから。
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