第21章 お昼
次の日。
お昼休みにトイレに行った帰りに廊下で逢坂くんに会った。
手には購買で買ったらしきパンを持ってる。
「あ、逢坂くん。それお昼ご飯?焼きそばパンだ!いいなー」
私は声をかける。
「あぁ…ゆめちゃん、焼きそばパン好きなの?あげるよ」
逢坂くんが私に焼きそばパンを差し出す。
「えっ?逢坂くん焼きそばパン好きじゃないの?」
「まあ好きだけど…飽きたし。どうせゆめちゃんと一緒に食べられるわけでもないし…」
逢坂くんがそう言ってちょっとすねた顔する。
…昨日のこと根に持ってるのかな。
あ、そうだ。
「ね、逢坂くん。ちょっと待っててね」
私は教室に戻って、カバンから自分のお弁当を持ってくる。
そして逢坂くんに差し出す。
「これ、焼きそばパンと交換して?自分用に作ったからオカズちょっとしょぼいけど…」
私がそう言うと、彼が嬉しそうに顔を赤らめた。
「え…いいの?」
「うん。食べて欲しいの。離れててもわたしのこと思って食べてね」
私はちょっとぶりっ子気味にニッコリ笑う。
少し大げさなほうがこういうのはウケるはず。
「ありがとう…」
逢坂くんはすごく嬉しそうにお弁当を受け取って、E組の教室に戻って行った。