第34章 逢坂くんがサンタクロース(後編)
夜。
私はちゃんと家に帰って、チキンとケーキを食べた。
そして今は自分の部屋の学習机で、期末テストでミスした問題をチェックして復習してる。
こんなにいい子なのに…
サンタさんが来るのは明日の朝かぁ。
はぁ…
ため息をつく。
今夜は冷えるなぁ、雪降ってたりして。
私は部屋の窓を開けてみる。
わぁ…
真っ暗な空から、真っ白な雪が落ちてくる。
私はしばらく空を見上げる。
ホワイトクリスマスじゃん…
逢坂くんに会いたい…
昼間会ったばかりだけど…
明日の朝、約束してるけど…
会いたいよぉ〜
……。
…ゆめちゃん
ん? 誰かに名前を呼ばれたような?
私はキョロキョロする。
「ゆめちゃん…下…」
……!
逢坂くんが、家の前でスマホと何か包みを持って、私を見上げてる。
私はコートを羽織って部屋を飛び出す。
リビングでテレビを見てる家族に
「ちょっと雪見てくる。すぐ戻るねっ」
と、声をかけて玄関を出る。
「逢坂くんっ…! なんで?」
私たちは玄関からちょっと離れた所でコソコソしゃべる。
「これ、サンタさんのプレゼント。もう届いていたから早く渡してあげたくて。というか…会いたくて」
プレゼントの包みを彼が掲げる。
「明日、約束してるじゃん…」
「でも会いたかったんだ。顔だけでも見たくて…。メッセ送ろうと思ったら、ちょうどゆめちゃんが窓を開けてビックリした…」
私は彼にぎゅっと抱きつく。
「逢坂くん、身体冷たい…。こんなに寒いのに…ありがとう…」
「ちょっ…あの、こんなとこ親御さんに見られたら殴られるんじゃ…」
彼が慌てる。
「平気。わたし、こんなにいい子だよ? ちょっとぐらい…」
「うん、そうだね…」
彼がそっと、私の背中に手を添える。
雪が私たちに落ちてくる。
静かな空から。
サンタさんは私が一番欲しいものをくれた。
fin