第13章 特別な日
「お誕生日おめでとう!このケーキ私が焼いたんだよ」
「わぁ…とても上手だね。美味しそうだ」
逢坂くんが嬉しそうにケーキを眺める。
「うふ。頑張っちゃった。
…そうそうケーキを食べる前にこれ飲んでね。これも私のお手製特別ドリンクだよ」
「これはどういうところが特別なの?」
彼がグラスを持ち上げて興味深そうに尋ねる。
私は唇に指をあてて内緒話のフリをする。
「これはね…媚薬なの。逢坂くんが私に夢中になるように…おまじない」
「そんな…僕はずっとゆめちゃんに夢中だよ」
彼が嬉しそうに頬を赤らめる。
「うふ。一気に飲んでね…」
私はにっこり微笑んで勧める。
…
ピーにピーッ(自粛)を混ぜたら効くって本当だったんだ…ふふ。
「あ、あれ…?寝てた?なんか頭がぼんやりする…。え?どうなって…」
寝ていた彼が目を覚まし周りをキョロキョロと見渡す。
「目が覚めた?ここ私の部屋だよ。わかる?」
私は彼に声をかけてあげる。
「それはわかるけど…この状況の意味が…。何故僕は裸なんだろう。そしてこれは…手錠?」
彼が後ろ手に手錠をはめられた腕を動かして問う。
私はにっこり笑って頷く。そして説明してあげる。
「オモチャだけどね。なかなかの質感でしょ。Amazonでレビューが良かったからね」
「もうひとつ聞いていい?」
「手短かにね」
「どうして全裸にワイシャツだけ羽織っているんだろう。下のシャツは脱がせてわざわざ着せたということだよね?」
彼が首を傾げる。
「そんなのその方が萌えるからに決まってるでしょ?
そんなこともわからないで今まで私の何をわかったつもりだったのかしら?」
私は腕組みし、呆れ顔を作る。
「ご、ごめん…」
彼がしょんぼりした声で謝る。
「まあ、いいわ。始めましょう」
私はにっこり微笑んで彼を見下ろす。
「始めるって…何を…?」
彼が不安そうな声で尋ねる。