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逢坂くんの彼女

第10章 保健体育のお勉強


「カバン」

廊下を歩きだすとゆめちゃんが僕に言う。単語で。

「カバン?あぁ、ゆめちゃんの?僕が持つよ」

僕がそう言うと、ゆめちゃんは僕の手から自分のカバンを引っ張り取る。

「持たせてると思われたくないの。逢坂くんが優しいのはわかったから押し付けないで」

ちょっと強い口調でゆめちゃんが言う。

「そんなつもりじゃ…」

僕はいろいろ言いたくなる気持ちを抑えて飲み込む。

機嫌が悪いな…少し放っておこう…。

ていうか…妊娠したら情緒不安定になるっていうような…。

ドンッ

ゆめちゃんが急に立ち止まりぶつかる。

「ちょっと…。なんで後ろ歩いてるの?うっとうしい」

いきなり文句を言われる。

「ごめん…つい癖で…。どうかしたの?」

「トイレ行ってくるからちょっと待ってて。どっか遠くで」

「あぁ、じゃあ玄関ホールで待ってるね」

若桜先生にはあんなに愛想良くしてたのに、なんなんだろう僕に対するあの態度は。

まあ仕方ない。ゆめちゃんと付き合うには多少の理不尽には耐えないと。

それにしてもsexするようになって、さらに振れ幅が大きくなったような気がする。

玄関ホールでとりあえずスマホを取り出す。

妊娠したとかってわかるのって3ヶ月目とかだろ?

僕らが初めてしたのは1ヶ月とちょっと前だから…もし妊娠してたとしてもまだわからないだろう。

まあそれはそれで怖いけど今回はただの貧血かな。

Googleで「妊娠」とワードを入れてみる。

予測で「妊娠初期」と出る。

クリックしてみる。

『妊娠したかな?と自覚できるのは早くて1週間後、その時点で妊娠2ヶ月と数えます』

……そうなの!?

1週間前2週間前なら心当たりは山のように…。

もしかして今ゆめちゃんがトイレ行ったのって…つわり?

「お待たせ」

ゆめちゃんが多少すっきりした顔で玄関ホールに現れた。
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