第10章 保健体育のお勉強
「大丈夫?何か…気分が悪いとか?」
僕はゆめちゃんの様子を恐る恐る伺う。
「気分悪いよ。最悪。早く家帰って寝たい」
ゆめちゃんがうんざりした感じで言い捨てる。
「そっか…。じゃあとりあえず歩きながら話そうか…」
帰り道を歩きながら僕は悩む。
どう切り出せばいいのか…。
「ねぇゆめちゃん」
「なーに?」
ちょっと面倒そうにゆめちゃんが返事する。
「何か…悩んでることとかない?誰にも話せないようなこととか…。僕に話してみて?」
とりあえず遠まわしに探ってみよう。
「誰にも言えないような悩み?彼氏が変態とか?」
ゆめちゃんが僕の顔を見て言う。
「はは…。エッジの効いた冗談だね」
「冗談に聞こえるんだ…はは」
特に話も聞かれないままゆめちゃんの家の前に着いた。
もうこうなったらはっきり聞くしかない。
「ゆめちゃん…生理ある?」
「は?何いきなり?キモ…」
ゆめちゃんにドン引きされる。
でもちゃんと言っておかないと。
「もし妊娠してたとしても…僕がなんとか…僕はまだ17才だから充分なことはしてあげられないかもしれないけど…。
ゆめちゃんとそのお腹の子への愛には自信があるから!僕に話して」
僕はゆめちゃんの両手をギュッと握る。
ゆめちゃんが不思議そうな顔で僕の顔を見る。そして言う。
「いや、あの…。わたし今、生理中だから」
「えっ」
ゆめちゃんの顔がみるみる赤くなる。そして僕の手をバッと離す。
「さっきからなんかキモイこと聞いてくると思ったら…そんな心配してたの?
…そんなことあったら私からちゃんと話すから。
もう…2日目でただでさえしんどい時にややこしいこと言わないでよ」
僕は何も言えないで立ち尽くす。
「帰るね。また明日!」
僕の顔を見ないでそう言ってゆめちゃんは家の中に入っていった。
そっか…。よかった…ような少し残念なような?
僕は若桜におちょくられたのか。
死ね、じゃなくて殺す。
僕は僕の帰り道を一人で帰った。
fin