第10章 保健体育のお勉強
ガラッ
「あのっ、ゆめちゃ…佐藤さんが保健室で休んでるって聞いて…」
僕が保健室の扉を開けて若桜先生に声をかけようとすると、若桜先生は人差し指を唇の前にたて「シーッ」というジェスチャーをした。
いちいちキザなヤツ。うぜえ。
「ゆめちゃん寝てるから」
若桜先生が小声で話す。
なれなれしく名前で呼びやがって。
「倒れたって聞いたんですけど…大丈夫なんですか?」
僕も小声で話す。
「うーん熱もないし、貧血かな。今日は暑かったのに体調不良で無理して体育に出たからだろうね」
「体調不良だったんですか…」
朝、一緒に来たのに気づかなかった…。
「ま、病気じゃないから。ていうか君…ゆめちゃんの彼氏?」
「そうですけど?」
若桜先生の質問にはっきりと答える。
これははっきり主張しておかないと。
それを聞いた若桜先生が内緒話するようにコソコソと話す。
「君…彼女を妊娠させるようなことしてないだろうね?」
「はぁ?」
なんだよコイツ。男子生徒にもセクハラかよ。
「してないですよ。そんなこと」
僕は怒りを抑えて返答する。
ていうかゆめちゃんで変な想像するな、死ね。
若桜先生は内緒話を続ける。
「高校生ぐらいだとよく勘違いしてる子いるんだけど、膣外射精はもちろんコンドームも100%の避妊率じゃないからね」
「えっ…」
思わず僕が若桜先生の顔を見ると、若桜先生は意味ありげににっこりと微笑む。
「彼女の身体…大事にしてあげるんだよ」
そう言って若桜先生は僕の肩をポンポンと叩いた。