第33章 逢坂くんがサンタクロース(前編)
ボールペンを握って、私は考える。
これは…
逢坂くんが私に何かクリスマスプレゼントを用意してくれる予定で、私が何が欲しいか探ってるんだよね。
それなら、ふふ…
「逢坂くんが欲しい」
とか書いちゃおうかな、ふふっ。
あっでも、もし…もしも…
逢坂くん、実はまだサンタさん信じてる人で…
このレターセットはご両親が準備したものだったら…
なんて女だ! と思われてしまう!
うーん…
「悩んでるの? 何でもおねだりしていいんだよ? サンタなんだから」
彼がニッコリ笑って、書くのをうながす。
「う、うん。逢坂くんに見られたら恥ずかしいなぁ。あっち向いてて」
「そっか。じゃあ、あっち向いてるね」
彼があっちを向く。
私はサンタさんに手紙を書く。
なるべく丁寧な文字で。
『あたたかいマフラーが欲しいです』
サラサラ…
「書けたよ」
私は便せんを封筒にしまいながら声をかける。
なかなか無難な物が書けた。
彼が封を貼る。
そして彼のベッドの枕元に置く。
「これで大丈夫。イブに僕の家に届くから、25日にゆめちゃんの家に持っていってあげる。楽しみだね!」
彼がニコニコする。
なんだか、ネットショップの買い物を頼んだときみたい。