第28章 わたしにできること
放課後。
放送室に芹澤先輩に借りたアニメのDVDを返しに行ったついでに、お菓子をもらって放送部のみんなとムダ話をして、図書館に行く途中…。
(あ、コンピュータ室ってここにあったんだ…)
パソコンがいっぱい並んでる。
家ではオンラインゲームする時しか使わないけど…理系クラスに進学すると、この部屋でなんか難しい勉強するのかな?
私はちょっと開いてる窓から中の様子を伺ってみる。
「誰だ!」
ビクッ
「そこで何を…ああ君でしたか、失礼」
髪の毛ボサボサの男子に声をかけられる。
(えと…この人…)
「その反応は…まさか俺を知らないとでも?」
「見たことはあるような気が…同じ2年だもんね?」
半分、勘で答える。
「俺はB組の明神堅吾。…君の隣のクラスですね。
プログラミング部の部長です。このコンピュータ室は部室として使わせてもらっています。
…佐藤さん、もしかしてプログラミングに興味が?」
明神くんが自己紹介してくれる。
私は思い浮かんだ疑問をぶつけてみる。
「プログラミングって…ゲーム出来る?」
「出来るというか…作ることが出来ますが?」
明神くんが難なく答える。
「え! ゲーム作れるの? わたしプログラミング部に入る! あ、でも…頭良くないと無理かな…」
「そんな事ないですよ。単純なものならツールを使えば簡単に出来ます。ちょっと中で紹介しましょうか?」
「わたし、森の魔法使いみたいなキャラでドラクエみたいなゲームがやりたいってずっと思ってて!」
「いいですね。具体的なビジョンがあるなら話が早いです」
私はコンピュータ室に足を踏み入れた。