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逢坂くんの彼女

第28章 わたしにできること


「よう! 今、帰りか? 今日は遅いな…って、えっ?」

偶然通りがかった私の幼なじみ、如月斗真が私たちに声をかける。

「うわ…面倒なのに会った…」

逢坂くんがつぶやく。

「おまえ…泣いてんのか? おい、逢坂! 何やったんだよ!」

私の顔を見た斗真が逢坂くんに突っかかる。

「僕は何もしてない。僕たちはアイデンティティの確立について話をしていただけだ。だいたい君には関係ないんだから首を突っ込まないでくれるかな」

逢坂くんが反論する。

「は? 何言ってんだよ? アイデ…てなんだよ? この状況はどう見てもおまえが泣かしてんだろーが」

「だから…状況も把握しないで話に割り込んで来ないでくれって言ってるんだよ。
…たまたま家が隣ってだけで保護者ヅラされたら彼女も迷惑だと思うよ。
ね、ゆめちゃん」

逢坂くんが私に同意を求める。

「家が隣なだけじゃないぞ! 小学生の時は俺が毎日一緒に登下校してたんだよな!」

斗真が私に同意を求める。

「…うるさい」

ガマン出来ずに私はつぶやく。

「斗真には関係ないし…逢坂くんにだって関係ないからっ…! うわあ〜ん」

「あっ…ゆめちゃん!」

私は二人を置いて一人で走って帰った。
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