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【進撃の巨人】救世の翼【加筆修正完了】

第3章 反逆の刃を空にかざす


普通の人間なら、エレンが駄目になった時点で撤退を選ぶだろう。


それでも彼は違った。

命を賭して前に進み、仲間を守る道を選んだ。

そしてまた、素晴らしい行動を見せた。



『死守せよ!』



最期の瞬間まで、己の役目を全うしようとする意志。

その強さと覚悟は、戦場の恐怖を忘れさせるほどの光を放っていた。



(絶対に、勝ってみせる)



私たち人類が、この戦いに勝利してみせる。

私もミカサ同様、ただ前を向いて走る。


心臓が激しく鼓動し、汗が額を伝う中、足元に広がる血塗れの大地が、足裏に生々しい感触を刻み込む。

息が上がり、肺が焼けるように痛むが、視界の先には希望の光がわずかに揺らめき、諦めなど許さないという決意が、胸の奥で燃え盛る。


そして、目の前に一体の巨人が迫ってきた。

巨人の影が地面を覆い尽くし、蒸気のような息が熱風となって頰を撫で、腐臭が鼻腔を刺す。


その巨大な瞳が、ただの獲物を求めるようにこちらを睨みつけ、足音が地響きとなって骨まで震わせる。



「まだ巨人が!」


「ここは私が!」



巨人を討伐するために向かおうと二人より一歩前へ踏み出た時、ミカサに手で制された。


ミカサの指先が私の腕に触れ、その冷徹な握力に、彼女の内に秘めたエレンへの想いが伝わってくる。

私の心に一瞬の苛立ちがよぎるが、すぐに信頼に変わる


――彼女の判断を信じろ、と自分に言い聞かせる。


その時、リコが横から立体機動を使って飛んできた。


ワイヤーの鋭い音が空気を切り裂き、彼女のマントが風を孕んで翻る姿が、夕陽の赤い光に照らされて一瞬の英雄のように輝く。


リコの表情は、疲労と決意の狭間で引きつり、汗が飛び散る中でもその目は鋭く巨人を捉えている。
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